ニューロダイバージェント者の中で、エーラス・ダンロス症候群(EDS)や過剰運動症候群(HSD)の他によく聞かれる診断がマスト細胞活性化症候群(MCAS)です。
MCAS, 体位性頻脈症候群(POTS), 関節可動亢進型EDS(hEDS)やHSDなどの症状を伴う過剰運動(symptomatic hypermobility)の症状には、顕著な重複があり、クラスターであると考えられています(Cheung & Vadas, 2015)。
図はKohn & Chang, 2020の図3から改変されたもので、MCAS, POTS, symptomatic hypermobitliyの関連性を示し、全てに関連している症状には、疲労、腹痛、便秘、下痢、低血圧、頭痛、動悸などがあります。この図では、HSD(およびEDSという用語の使用を意図的に避けました。これは、これらの診断を受けることに関連する課題を認識しているためです。これには、診断へのアクセスの限られていることや、この分野の専門家の不足などの要因が含まれます。
EDSは結合組織に影響を与えますが、その結合組織内に位置するのがマスト細胞というタイプの白血球です。したがって、EDSが存在することでマスト細胞の働きに影響を与える可能性があり、逆にマスト細胞がEDSの症状に影響を及ぼすことも考えられます。研究によると、EDSとMCASの二つは関連している可能性があります。MCASは、特にhEDSおよびHSDによく見られるとされています(e.g., Monaco et al., 2022)。
「問題を結合できないなら、結合組織を考えなさい」(“if you can’t connect the issues, think connective tissues”)というのは、EDSなどのコミュニティではよく使われる表現です。
ニューロダイバージェント者の原因不明の多様な身体症状の裏には、EDS, MCAS, POTSなどの結合組織疾患があるかもしれないということを医療関係者が理解している必要があります。
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